「これは自分の意志なんだ」
という、その考えは感情(意志)なのか。それとも思考なのか。
果たして自覚はあるだろうか。
私たちの社会では感情を出すことは良くないと思われているので、感情を思考で抑えるようになる。
だが、あまりに思考を感情で抑えることに慣れ過ぎると、自分が感情を抑えていることにすら気付かなくなるのだという。
そうなると自分を縛っている思考の方を自分の意志だと思うことになる。
でも人間の本当の意志(というか原動力みたいなもの)は思考ではなく感情だから、感情を抑えていてもいつか爆発してしまう。
例えば「この仕事したくない」という感情を「今は不況だから辞めない方が良い」という思考で押さえつけていたとする。でも本人は感情に気付かない。「俺はこの仕事をきちんとしなくちゃいけないんだ。」という思いが自分の意志だと思っている。でもある日突然ベッドから起きれなくなる。
最終的には感情を強制的に優先させるからだ。
では、思考と感情の見分け方はどうするか。
自分の中を見つめて、
- 「~しなければならない(すべき)」「~した方がいい」は思考
- 「~したい」は感情
抑えられていた自分の感情を発見したら、「感情を大切にして行動するとうまくいきます」というのがこの本の主張だ。
この自分の感情が自分で自覚できなくなるのはなぜか、という分析はなかなか面白かった。
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この本がユニークなのは、人間関係だけでなく「仕事も感情を大切にしてやった方がうまくいくのだ」というところ。
例えば、仕事で、「この案件はやりたくない」というマイナスな心があったとして、これを大切にしたやり方はどんなものがあるだろうか。
(感情を大切にするのはたとえマイナスな感情でも大切にするということだ。)
「俺はこの案件はやりたくない!」という感情を達成するためには、現実にやらなくて済むようにするしかない。それしかない。
でもだからといって、他人に押し付けるのも嫌だなと思うかもしれない。
「他人に押し付けたくない」というのも立派な自分の感情だからこれも大切にしないといけない。
現実にはこんな風に一つの感情だけでなく、いろんな感情のせめぎ合いになっているはずだ。
例えば「この案件はやりたくない」「同僚に迷惑をかけたくない」「評価されたい」などなど
そういう複数の感情を全部叶えることはできないだろうか。
ここで初めて思考を使う。
一気に解決とは行かないまでも、手順を踏んでいけばそういう方法はあるんじゃないだろうか。上司に掛け合って仕事の仕組みの方を変えてしまうなどなど。
ここで大切なのは思考を感情を押さえつけるために使うのではなく、自分の感情を達成するための道具として使うところだ。
この本は思考と感情という普遍的で深いテーマだけど、カウンセラーが書いてるだけあって現代的だし、読み易い。
というわけで、通勤中に仕事術本とか自己啓発本を読むなら、こっちの方が遥かにおすすめ。


